モリウッド映画界のこと

様々な言語で製作され、それぞれの言語に映画界が存在するインドの映画製作現場。本作「チャーリー」は、中でも話者人口が3,500万人程度と比較的少ないケーララ州の公用語マラヤーラム語で製作される、ボリウッドならぬ「モリウッド」作品です。伝統的に文芸作が多く、しっかりした脚本が多い一方、歌や踊りが控えめな作品が多いのがモリウッドの特徴です。

南インド映画日曜研究家の安宅 直子(あたか なおこ)さんによると、モリウッドは「大規模な予算をかけない代わりに知恵を絞る」。インド映画界で一番規模の大きい北インドのヒンディー語映画界 “ボリウッド” のきらびやかな世界とは少し違った、味わい深い作品が多いといえます。

モリウッドは長らく “二大巨頭” と呼ばれるふたりのスター俳優が支えてきました。このスター俳優たちの人気がすさまじかったために、なかなか若手が育たなかったともいわれています。本作”チャーリー -Charlie-“は、そんなモリウッド界ではニューエイジ系とされる、若い監督と若い俳優による新しい時代の作品として、2015年12月に公開、南インドで大ヒットを記録、映画各賞を総なめにしました。

ロケ先の砂漠にて、アートディレクター、シネマトグラファー、監督、エディター(from Charlie Facebook Page)
2015年12月24日の公開初日。ファンが映画館に詰めかけた(from Charlie Facebook Page)
主演のパールワティが”Charlie’s Angel”に! と新聞でも話題に(from Charlie Facebook Page)
ケーララ州の映画賞では8部門を受賞しました(from Charlie Facebook Page)
ケーララ州や南インドの映画賞を総なめに。写真中央は主演ドゥルカルの父、大俳優のマンムーティ(from Charlie Facebook Page)

モリウッドはインドのなかでもケーララ州を中心とした地方の映画界なので、北インドではあまり知られていません。たとえばモリウッドでヒット作があってもヒンディー語や英語字幕で北インドで上映されるというわけではなく、ボリウッドならばボリウッドの俳優を使って同じ脚本でリメイクを製作したりします。

これまで日本でもマラヤーラム語映画はたびたび紹介されてきましたが、映画祭や単発の上映にとどまっていました。またインド系観客ではなく日本人の観客に向けたマラヤーラム語モリウッド映画のロードショーが実現したのは本作が初となります。


“チャーリー -Charlie-“のみどころ、Masala Pressで連載中♪

どんなお話か知りたくなったらあらすじをぜひ!
はてさて、いったいどんな俳優が出ているのか?
舞台となったケーララ州ってどんなところ?