キャスト & 製作

主演俳優

チャーリー: ドゥルカル・サルマーン(Dulquer Salmaan)

本作のテーマといえるであろう「自由」を体現する人物チャーリー。風のように現れては去っていき、テッサを翻弄する。

演じるのは、マラヤーラム語映画界を数十年に渡り牽引してきた二大スターのひとり、マンムーティ(Mammootty)の息子、ドゥルカル・サルマーン

父親は熱狂的なファンを持つ大俳優という恵まれた環境で育ったドゥルカルは、2012年にデビュー以来、”ABCD: American-born Confused Desi”(2013)、”Bangalore Days”(2014)など悩み多き現代の若者といった役を演じることが多かったが、本作ではひとつ突き抜けた存在感が際立った。タミルナードゥ州チェンナイで長く学生生活を送ったためタミル語映画界ともつながりが深い。

南インドの理想の男性像として恰幅のよい俳優が受け入れられた父親の世代と比べると、格段に「いまどき」なルックスではあるが、父マンムーティの風格はしっかりと受け継いでいる。北インドのヒンディー語映画界ボリウッド入りの噂もちらほら囁かれており、今後のインド映画界を担っていく若手実力派俳優といえるだろう。

本作で2015年のケーララ州映画賞・最優秀主演男優賞を受賞。

テッサ: パールワティ(Parvathy)

家柄よく才能もあり、都会に暮らし仕事を持ち、自由を謳歌しているかに見える女性テッサ。兄の結婚のために実家に戻ったら、ついでのように自分の縁談も進められていおり、嫌気がさして家を飛び出してしまう。結婚は家同士のもの、女性は家にいるもの。そんな価値観が根強いインドにおいて、テッサの人物像はかなり現代的な女性といえる。

しかし「自由」であるがゆえに生じる迷いや悩みは、時として正体がわからず、古い価値観に縛られる苦しみ以上に人々を悩ませる。チャーリーという存在に導かれて進むテッサの足どりを追うことで、いつしか見守る観客の心の奥底に眠る重圧までもが軽やかになっていく。

演じるパールワティは、ケーララ州の弁護士の両親のもと生まれ育ち、大学で英文学を専攻したのちローカル局のレポーターなどを経て2006年に映画界入り。天真爛漫な現代的な役柄が多いかと思いきや、作品によってガラっと雰囲気を変えて古風なインド女性にも化ける。マラヤーラム語映画ほか、タミル語、カンナダ語など南インド他言語の映画界でも活躍している。

本作で2015年のケーララ州映画賞・最優秀主演女優賞を受賞。

脇を固める名俳優たち

製作

監督: マーティン・プラーカット

マーティン・プラーカット監督は大俳優マンムーティ主演の”Best Actor”(2010)でデビュー、その息子ドゥルカル・サルマーン主演で”ABCD: American-born Confused Desi”(2013)を撮り、同じドゥルカル主演の本作”Charlie”(2015)が3作目となる。

デビュー作は大俳優が主演で、カットの撮り直しなど恐れ多くてなかなかできなかったというが、前2作とはガラっと趣の異なる本作は「気心の知れた友人たちが集まってできた作品」とインタビューで語った。「あらすじはたった2行で終わるような話」と監督自ら表現する本作は、気負いがないぶん感性に委ねられ、饒舌な映像と音楽で様々な感情を呼び覚ます作品となった。

ドゥルカルのような人気俳優を主演に据える場合、ヒロインは添え物的な扱いになりがちである。しかしマーティンは「チャーリーと同じくらいの存在感を出せる女優でないと駄目だと思った」として、演技力に定評のあるパールワティを起用した。また本作はキリスト教の世界観をベースにしながらも、イスラーム教徒を登場させたり、ヒンドゥー教のモチーフを散りばめたりと、何かとバランスを失いがちな世界に向けた共存・融和へのさりげないメッセージが込められている。マーティンは2015年ケーララ州映画賞にて最優秀監督賞を受賞。

脚本: Unni R., Martin Prakkat 監督: Martin Prakkat 音楽: Gopi Sunder
衣装: Sameera Saneesh 撮影: Jomon T. John 編集: Mahesh Narayanan
制作: Martin Prakkat, Joju George, Shebin Becker


“チャーリー -Charlie-“のみどころ、Masala Pressで連載中♪

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